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M&Aアドバイザリー契約における直接交渉の禁止条項の意味と今後の課題

作成者: lifehack|Apr 13, 2021 2:48:31 PM

「直接交渉の禁止」条項をご存知でしょうか?

 

1.今では当たり前なSNSの交流

М&Aに絡むほとんどのアドバイザリー契約に記載されている条項で、売り手と買い手の、直接のやり取りを禁止する条項の事。

SNSが普及しまくっている今の時代、この条項はどうなんだろう。って、最近強く思ってます。

 

具体例で言うと、最近オンラインでのトップ面談(売り手オーナーと買い手候補オーナーとの面談のこと)の際にこんなやりとりがあった。

買い手オーナー「めちゃくちゃ良い場でした!!◯◯さん(売り手オーナー)の考え方や生き方にも共感しました!!」

売り手オーナー「そんなそんな!!ありがとうございます。嬉しいです」

買い手オーナー「◯◯さんのバーチャル背景(オンラインツールの背景画像)に記載されてるQRコードってFacebookのURLですか?もし良かったらFacebook友達申請して良いですか?」

売り手オーナー「もちろんです!!友達なりましょう!!!」

 

オンライン時代、SNS時代、ありがちなシーンかと思います。

これって立派な直接交渉の一種に該当しますよね。こんな微笑ましい光景をブロックするのってどうなんでしょうか?

 

この時の私は、その盛り上がりを遮ってまでも、

私「すみません...直接の交渉や接触は控えていただけますか?」

とは言えず、後ほど買い手候補様に直接交渉禁止の旨をお伝えさせて頂きました(直接「交渉」ではないのですが、接点があることで「交渉」する可能性の芽がありますから、心苦しくも)。

 

皆様はどう思いますでしょうか?

私は最近は「直接交渉の禁止」条項はアドバイザーの怠慢だと思うようになってきました。

直接交渉されたら自分なんて用無し扱いされかねないから、直接交渉しないでください!!って言ってるようなもんだと思います。

2.直接交渉の禁止がなくなってしまうと……

では、直接交渉を解禁してしまった方が良いのでしょうか?

それはそれで問題が発生することでしょう。例えばなんだかんだ契約締結につながり、アドバイザーとして契約書作成の依頼を受けた時など...

一番問題になりそうなのが、直接交渉はしたものの、いざ契約締結へと進んだ場合には仲介をすることになった時。売り手オーナーと買い手オーナーが直接やり取りした交渉ごとについて、契約書に落とし込むことができないのです。

 

これは結構な困ったちゃんです。

契約書には、良くも悪くも全ての交渉事項を落とし込む必要があるのです。

 

それが、

・買い手オーナーとアドバイザーとで詰めていたこと
・売り手オーナーとアドバイザーとで詰めていたこと
・アドバイザーを介して売り手オーナーと買い手オーナーで詰めていたこと
・SNSやメッセンジャーを通じて売り手オーナーと買い手オーナーで直接詰めていたこと

などと言ったように、交渉の場面が多岐にわたると全ての事項を契約書に落とし込むことが不可能になります。

 

これはお互いのためではありません。

場合によっては売り手オーナーに不利に働くこともありますし、買い手オーナーに不利に働くこともあります。

どちらにとっても不利にならない様、お互いの要望や条件などを網羅する意味でも、全てを網羅している存在が不可欠になり、

その存在がアドバイザーでもあるのです。

 

今の時代にもマッチし、漏れなく交渉ごとや条件面をカバーするには、SNS等で繋がるのは良いものの、直接は案件についてのやり取りをしない、という必要があります。

そして、そのことをお互い(売り手オーナーも買い手オーナーも)しっかり把握しておく必要があるのです。

3.今後求められるアドバイザー像

仮にSNSでの直接交渉すらを許容し、交渉ごとの網羅が可能になるとしたら、アドバイザーとしての存在意義が本当に求められる時代になることでしょう。
そんな時代もいつか来ると思います。

そんなとき、本当にアドバイザーが必要な案件なのか。

アドバイザーがいなければどうしても◯◯の部分がダメなんだ。

そんな強みを持ったアドバイザーのみが生き残れる時代になっていくと思います。

 

そんな強み、持っていますか?

 

ライフハックブログでは他にも、これからの時代のM&Aアドバイザーにとっての実務についてまとめています。以下も合わせてお読み下さい。
M&Aアドバイザーの実務TIPS