M&A会社が着手金を取ることでより生産性を高められる理由とは

M&Aアドバイザー業務において、成功報酬型の報酬体系を取っているところが多いと思います。中でも着手金を取っているところ、取っていないところ、分かれると思うのですが、個人的には着手金は取った方が良いと思うに至りました。

当記事では「着手金は取った方が良い」そう思うに至った理由をご紹介していきたいと思います。

1.着手金とは?

M&Aの報酬体系として、「完全成功報酬型」を選択しているM&Aアドバイザーの方は多いです。大手M&A会社をはじめとして、着手金を設定しているM&Aアドバイザーも一定数いるのですが、世間的には「着手金を取るなんて悪だ。着手金取ってあとはほったらかしなんだ」と言う印象を抱かれてしまっています。果たしてそうでしょうか?当初、私もそのように考えていた節がありましたが、最近は「着手金は取るべきなんじゃないか」と言う考え方に変わってきています。

当記事では、「着手金は設定した方が良い」そう思うに至った理由を紹介していきます。

 

2.着手金を取った方が良い理由①買い手の本気度を試すため

分かりやすく言うと「買う買う詐欺」防止の観点です。

買い手候補の中には、一定数「会社買いたいんだよね」「M&Aしていきたいんだよね」と言いたいだけの方がおります。対象会社の財務内容やノウハウなどを吸い上げるだけ吸い上げて、なんだかんだ理由をつけて「やっぱり買うのやーーーめた」と手を引くのです。

この人は本気だな、ブラフだな、という感覚は、買い手候補者との面談の数をこなしていくと分かる様になっていきます。しかし、最初のうちは判断が難しいです。その手っ取り早い対策が、着手金を設定する事なのです。

案件を提案することになるアドバイザーの時間も、それに何より本気で買い手候補を見つけたいと思っている売り手の時間も、有限です本気度の薄い買い手候補者との無駄な時間は無くしていきたいところです。

 

3.着手金を取った方が良い理由②売り手の本気度を試すため

こちらも、分かりやすく言うと「売る売る詐欺」防止の観点です。

売り手候補の中には、「自社の価値はどのくらいなんだろう。本気で売る気はないんだけど今の価値だけ知りたい」と言う方や、「家族の同意や株主の同意、許認可的に引き継げるかどうかを確認してないけど買い手見つけたい」と言う方がおります。

交渉を進めていくうちに問題が発生した場合、本気の方であればどうにかしようと画策してくれるのですが、本気度が薄い方ですと「やっぱり売るのやーーーめた」となってしまいがちです。

買い手の場合とは違い、売り手の場合はいくら売り手が本気でも物理的に譲渡が厳しい条件だとどうにもなりません。しかし、着手金を設定することで、交渉開始前に本当に譲渡が可能かどうか、厳密に確認してもらえるでしょう。

 

4.着手金を取った方が良い理由③当事者(売り手or買い手)の気まずさをなくすため

上記は、当事者である売り手・買い手が本気でない場合を想定しておりました。しかし、本気で検討していても、どうしても案件をストップせざるを得ない状況が発生する可能性もございます。そんな時当事者の方に言われるのが、「ここまで動いてくれたのに申し訳ないよ。請求してよ」です。

交渉開始時に、「着手金はいりません。完全成功報酬制を取っているので」と伝えてしまっている以上、ここで「そうですか。じゃあ…」とはアドバイザーからは言いにくいものです。さらには、信頼関係が出来ている売り手(買い手)さんであれば、「ここまで動いてくれたのに報酬を払えないなんて申し訳ない。気まずいなぁ」という思いをさせてしまうことになります。

実は、両者が気持ちよく交渉をストップするためには、着手金があった方が良いのです。ただし、アドバイザーと当事者間の信頼関係が元々構築されている場合に限る、と思います。

 

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?

まとめると、M&Aアドバイザーと当事者(売り手or買い手)の間の信頼関係がどんなもんか、によるのではないかと思います。

信頼関係が出来ている同士であれば、上記の背景を説明すれば着手金は必要だよね、とご納得頂けるでしょうし、信頼関係が出来ていない(初対面含む)同士であれば着手金は払いたくない、となるでしょう。

アドバイザーとしては信頼関係が構築出来ている方と、お互いストレスがない形で気持ちよく案件を進めていきたい、そう思うでしょう。上記の話をしてもご理解頂けない場合、それまでの関係だった、と割り切って別の方との関係構築を進めて行った方が良いと思います。

そんなこんなで、弊社では今後、着手金を頂戴しながら案件を進めていく方向で調整を進めていこうと思っています(今以降、着手する案件について)

 

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