M&Aの交渉を進めるに際し、売り手と買い手はどちらが優位に交渉を進められるのでしょうか?
売り手、買い手、それぞれの状況にもよると思うのですが、基本的には買い手の方が優位に進められるのではないかと思っています。以下に、そう考える理由を紹介していきたいと思います。
最終譲渡契約を締結するまでは、買い手は基本的に交渉をストップすることが可能です。買収を検討している企業や事業が手中に入れば収益が拡大するのは間違いないとしても、気が変わったりしただけで交渉をストップすることが出来るのです。
買収するする詐欺で、買収を実施しなかったときに費用等が発生するならまだしも、そういうわけではなく直接的な損失が出るわけではないので、いつでも交渉を中断できる点は買い手にとって非常に優位な状況ではないでしょうか。
一方で売り手はどうでしょう?
譲渡代金の入金がなければ資金繰りがきつい、これ以上事業を継続すると体力的にやばい、そんな切羽詰まった理由で譲渡を検討する方が多いため、買い手の気分で交渉をストップされたらたまったものじゃありません。
そんな思いを想いをつゆ知らず、買い手は連絡に反応しない、思わせぶりな態度ではっきりしない、そんな対応をしてくるケースが非常に多いです
では、交渉を支援するM&Aアドバイザーはどの様なことに注意したら良いのでしょうか?
買い手に圧力をかけて決断を急がせることは得策ではありません。「じゃあ、(交渉ストップしちゃって)いいよ」となるだけですので。どうしたら良いかと言うと、
・買う気があまり感じられない方には、交渉を専属で進めない
・そもそも気配がある買い手候補には、案件を振らない
上記のことに注意して、案件の舵を切る必要があると思います。買い手候補の方がどんな方か、と言うのは案件のやり取りをしていると把握できるものです。この人は決断が早いな、この人は真摯な対応してくれるな、そんな方に案件を振るように意識するのです。
いかがでしたでしょうか?
会社を売却する、そう決断をするのは大変なことです。それ故、大きな覚悟を持って買い手を探すことになるのが売り手です。一方で、継承できたら事業規模の拡大には繋がりますが、是が非でも拡大したいとは考えていない買い手は非常に多いです。
今後は、上記の売り手の想いや売却に至る背景など、買い手に伝える場、買い手のM&Aリテラシーを育てる場を用意する必要があるのかもしれません。
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