事業譲渡で飲食店を引き継ぐ場合、店内に存在する売主所有の動産を引き継ぐ、そんな契約とすることが多いです。ここに落とし穴があります。
契約前に店内を見学し、店内のものは全て引き継げる確認をしたとします。ところが、それらの物品の中には、店長やスタッフがポケットマネーで購入しているものが混じっているケースがあります。つまり、売主所有のものではない資産なので、買主はそれらの資産を引き継げないのです。
スタッフが継続して勤務しているうちは問題になりませんが、退職により私物を引き上げることとなった場合は、新たに買い替える必要が出てきてしまいます。あるあるなのは、包丁、パソコン、タブレット、などでしょうか。
上記を避けるためには、店内見学時に全て売主所有のものなのか確認する必要があるでしょう(ただ、オーナーは全て把握していないケースが多いと思いますが...)。
スタッフのご両親や親戚など、縁故関係から食材を仕入れるケースがあります。そんなケースの場合、以下の様な特別な条件で仕入れることが可能だったりします。
通常より単価が安い | 通常は認められない小ロットでの発注が可能 |
発注当日に納品してもらえるなど納期が特別 |
仕入先の選定を店長に任せているケースでは、上記をオーナーが認識していないことがあり、交渉時にオーナーに「特別な条件での仕入れ先はありますか?」と確認しても把握できないことが大いにあります。
当該スタッフが店舗に残っている分には問題が起きないのですが、辞めるとなった場合に問題が発生し、同じ条件での継続した仕入れが出来なくなってしまいます。原価の大部分を占めるメインの食材の場合、原価率が数%変わるだけで大きな損失となる可能性がありますので、契約前に仕入先の確認はしっかりと行いましょう。場合によっては(オーナーが仕入先の全貌を把握していない場合など)、店長や仕入担当者も交えて整理しておくと良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?いずれもオーナーの知らないところで起きてしまっている問題が多いと思います(オーナーが把握している問題については、事前に公開していることがほとんどなので問題とならないことが多いです)。
現場を仕切っているスタッフに直接質問すれば確認が取れると思うのですが、基本的に譲渡契約前はスタッフには秘密で交渉が進んでいきます。故に、オーナーへの確認のみで契約まで進まざるを得ないです。
ただ、知らなかったから仕方ない、という訳にもいきません。買主のリスクをヘッジするためには、上記の様な問題が発生した場合には売主に補填してもらう、負担してもらう、などの縛りを入れた契約にする必要があると思います。
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