M&Aの交渉を進めていると、「買収資金は金融機関からの融資で調達予定」という買い手が多いです。この言葉、真に受けて交渉を進めて良いでしょうか?答えはNOです。
当記事では、買い手の資金調達余力の重要性と、調達余力を確認する方法を紹介していきたいと思います。
1.資金調達の問題が発生するのは交渉の後半
通常の交渉の流れとして、希望売却価格を開示した上で買い手からの立候補を受け付けます。その上で交渉を進めることになるため、買収資金はなんとかなるのだろう、と思って交渉を進めてしまうことがほとんどです。
財務内容の確認、追加資料の請求、譲渡代金の交渉、企業調査(デューデリジェンス)の実施、最終条件の調整、M&A交渉のほぼ全てを、資金調達の可否が絶対ではないタイミングでも実施できてしまうのです。そして、最後の最後、買収資金をどう準備する?という段になって初めて問題が発生してしまうことがあるのです。
2.売り手の落胆は大きい
ギリギリで交渉を断念せざるを得ない状況となった場合、一番辛いのは売り手です。たくさんの時間と労力をかけて交渉を進めてきたにも関わらず、最後の最後で「資金調達が出来ないから買収できません」と断られてしまうのです。
事業の売却になれている売り手、M&A案件の売却支援を経験している売り手側のM&Aアドバイザー、場合によってはこれらの方々が怒ってしまう可能性さえあります。実際、資金調達が出来ないことを理由に交渉をストップする、交渉を長引かせてしまうことは失礼にあたる、そう考えている方々も少なくありません。
3.アドバイザーが事前に確認する方法
初めての買い手さんの場合、上記の問題を事前に把握することは難しいです。そんな時に助言を出来るのがM&Aアドバイザーです。実際そんな場面に出くわすと、案件を進められることに喜んでしまい、買い手候補の資金余力の確認を怠ってしまうことが多いです。そこをグッと堪え、買い手の財務状況、資金原資の確認を事前に、慎重に、厳密に実施することをお勧めします。
具体的には、決算書を確認するなどを実施し買い手の財務内容を確認しましょう。買収資金を資金調達で検討しているのであれば、銀行目線で融資が可能そうかも確認する必要があります。万全を期すのであれば、買い手サイドのメインバンク担当者にも資金調達の可能性を探っておけると良いでしょう。
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