弊社は代表自身が元々会計事務所出身の人間(約12年間勤務)ということもあり、士業事務所の内情に精通しています。事務所や担当者による相違は多少あるかもしれませんが、当時の経験から推測できる裏側を予想していきます。
私が会計事務所に勤務していた頃、心の奥底には少なからずこの気持ちがありました。顧問契約の場合は毎月の顧問料が決まっているため、何事もなくいつもの月と同じような動きである方が楽なのです。
新しい業務が増えることでの顧問料の増額という流れもあるのですが、駆け出しの先生でもない限り、新しい取り組みをすることで貪欲に顧問料の増額を図ろうとする先生は少ないと思います。ましてや、当該事務所に勤務する担当者ベースの視点ではなおさらだと思います。
※全員ではありません。中には勉強熱心で顧客第一主義、顧客の利益を最優先した対応をして下さる方もいるかと思います。多くないと思いますが...
顧問の先生である以上「頼られる存在でなくてはならない」という気持ちが非常に強いです。この気持ちは当たり前のもので、その責任感から時に知ったかぶりの対応をしてしまうことがあります(私自身もありました)。
貴社として、その点を理解してあげる必要があると思います。この先生はこの分野の顧問、あの先生はあの分野の顧問、といった具合にその先生が得意な分野、領域での顧問、そういった具合に割り切ってあげましょう。先生方は自ら「この分野は私の専門領域ではないので...」とは言いにくい部分かと思います。
M&Aについての顧問なのか?M&Aに関しての知見を持っているのか?情報を入れているのか?机上の情報だけでなく、実務上の傾向などを理解しているのか?その点を冷静になって考えてみてください。
「先生、M&Aに関しての相談をしても良いですか?」と相談をすれば、「(よく分からないけど顧問だし、分かりませんと伝えたら頼りないと思われてしまうから)良いですよ」という答えが返ってくると思います。
では、どのようにM&Aに関しての知見があるかどうか、を確認すれば良いのでしょうか?簡単に判断できる方法を紹介したいと思います。それは、
売り案件について、譲渡価格の算定をしてもらう
これで一発で分かります。売り手サイドから譲渡希望価格が出ているのであれば、その価格が高いのか安いのか、を判断してもらうのです。この算定をしてもらう際に、決算書に記載の表面的な数字しかみないで意見をしている(損益計算書に記載の営業利益だけを見て、「この利益の会社でこの売値は高いですね」的な)様であれば要注意です(理由の詳細については別記事で紹介しようと思います)。
また、相続対策などで実施した株価評価の数字だけを判断材料に、株価の高い安いを意見してきた際も要注意です。相続税の計算用に算出した株価と、当該企業の将来性や収益性を加味したM&A譲渡のための株価は、違うのです(こちらも詳細については別記事で紹介しようと思います)。
いかがでしたでしょうか?
貴社でM&Aを検討・顧問の先生方に相談した際、上記のような対応を取られた経験はありませんか?
「頼ってもらえる存在でい続けたい」
その想いがあるのは士業の先生方にとっては当然のことです。プライドを持って顧問業務にあたって頂けるのもありがたいことかと思います。ただ、顧問として面倒を見てもらう領域を、顧問業務を委託している貴社自身が、明確に線引きしてあげたほうが間違いなく自社のためになることを理解する必要があると思います。
業界内での相場感ではどう考えても「買い」な案件を、知見のない顧問◯◯士さんの鶴の一声で逃してしまう場面を何度も見ています。これからは買い手企業様向けの教育、ひいては買い手企業様の顧問◯◯士様向けのM&A教育、これらの活動が必要になってくるのではないか、そんなことを考えています。
この他にもLifeHackブログではM&Aについて紹介しています。合わせてお読み下さい!
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