「居抜き」だけじゃない!飲食テナント撤退時の「M&A譲渡」の選択肢とは
1.飲食テナントの撤退の相談先とは?
飲食テナントを借りて飲食店を営業しているオーナーが、テナント撤退を考えた際に相談するのは誰でしょうか?
そのテナントを管理している不動産会社の担当者だと思います。契約内容にもよると思いますが、撤退を検討している時期の数ヶ月前に撤退の意思を伝えることになるでしょう。
退去時にスケルトン返しが条件になっている場合、撤退予定のオーナーは後任者を見つけることでスケルトン費用を抑えたいと思うのが当然でしょう。
不動産会社の営業担当者と一緒に、店内造作物を居抜きで買い取ってくれる後任者を探すことになるのです。
2.「居抜き譲渡」以外の選択肢があります
これまでの不動産取引の場合、テナントオーナーも不動産会社の担当者も、旧オーナーがテナントを撤退するとなった場合、
・居抜きでの譲渡先を探す
・(居抜きで入ってくれる方が見つからなければ)スケルトン返しでの撤退
この二択が多かったのではないでしょうか?
これらに加えて、最近では「M&A」を活用した撤退も増えてきています(実際には撤退ではなくオーナーチェンジ)。M&Aの知識を習得して、ここにM&Aでの譲渡、という選択肢を追加してみてはどうでしょう?
※広義では居抜き譲渡もM&Aの一種かとは思いますが、M&Aとして意識している関係者は少ないためあえて別モノとして表現しています。
3.「居抜き譲渡」と「M&A譲渡」の違い
では、居抜きで譲渡する場合と、M&Aで譲渡する場合の違いはどういった点になるのでしょうか?大きな違いとしては、
・店舗が継続する
・アルバイトスタッフなどの従業員も引き継いでもらえる
・店内造作物、厨房機器、などの資産以外の譲渡代金も受領できる
テナント撤退の理由にもよりますが、自分が立ち上げた店舗ブランドが継続する、雇用していた従業員の雇用も維持できる、店内備品以外にもプラスアルファで譲渡代金を受領できる、とプラスの事項が多数あると思います。
4.M&Aを活用した引継ぎ手を探す際は、専門家に任せることをお勧めします
なぜならば、譲渡代金に大きな差が出るからです。旧オーナーの人間関係、不動産会社(M&Aに関与していない会社を想定)の担当者のクライアント網、これらの人間網から引継ぎ手を探す場合、譲渡代金は店内備品の価値のみでしか譲渡できないケースが多いと思います。ましてや、泣く泣く実際に投下した設備費よりも安い価格での譲渡になってしまうことがほとんどではないでしょうか。
ところが、M&Aの専門業者等を活用する場合、これまで投下した設備費よりも高額で譲渡できるケースがあるのです。なぜこんなことが可能かというと、M&Aの専門業者は数多くの買い需要を抱えているからです。
・茨城県内のタンが美味しい焼肉屋さんを探している
・水戸市内の特徴的なラーメンを提供しているラーメン店を探している
・広告費をかけていないのに人気のある飲食店を探している
・店舗展開しかしていないが、通販で展開できる商品を抱えている飲食店を探している
などです。欲しい方からすると、需要にマッチした飲食店は非常に魅力的となり、既に常連さんがついていて、オペレーションに慣れたスタッフも既にいる、とあれば実費分以上の設備投資が必要になっても検討してくれるケースがほとんどです。
5.不動産会社の取り分は?
居抜きで後任者を見つける場合
引継ぎ手を契約主として新たに賃貸借契約を結ぶことになるでしょう。新規の契約と同様のため、敷金や仲介手数料、場合によっては礼金を頂くことになるのではないでしょうか。
M&Aで後任者を見つける場合
「事業譲渡」という方法で後任者を見つけることができた場合、新オーナーを契約主として新たに賃貸借契約を結ぶことになります。故に、敷金や仲介手数料は改めて新オーナーから受領でき、居抜きで後任者を見つけた場合と同様の状態になるかと思います。
以上のように、不動産会社の視点から見ると「居抜き譲渡」も「M&A譲渡」もほぼ変わらないのです。M&A業者と提携し撤退予定の案件をM&Aへと結びつけることができた場合、M&A業者からの紹介手数料という新たな収入源を見出すことが可能ではないでしょうか?
良い引継ぎ手を探す意味では、居抜きもM&Aも同じことかと思います。常連さんにも変わらぬ味を提供できる点、雇用を維持できる点、これらの点でM&Aの方がウィンウィンになる可能性もございます。
6.まとめ
居抜き譲渡にプラスアルファの可能性があるM&Aでの後任者探し、検討してみてはいかがでしょうか?
そのためには一定以上のM&Aの知識が必要になると思います。旧オーナー様、新オーナー様にプラスアルファのご提案を一緒に提供していきたい、そうお考えの不動産会社の担当者様、ぜひご連絡頂ければ幸いです。
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